保育士・介護士・看護師などの人を助ける職業が苦しむ社会

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生活
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人の欲を満たす仕事が儲かり人を助ける仕事が儲からない。
今の日本を現すのにこれほどわかりやすい言葉はあるのでしょうか。

今日本で最も問題視されていることの1つに、介護職や保育士の離職率と就職率の低下があります。

そして上記2つほど騒がれていませんが、看護師も似たような状況にあります。

介護士・保育士・看護師のどれもが賃金の低さと過酷な労働環境が問題となっていて、さらにこれらの職業は資格を取得する必要があります。

資格を取るために勉強し、専門学校に通い時間と労力と高い授業料を払ってやっとこれらの仕事に就くことができるのに対し、それに見合っていない賃金にはじめ長時間の労働や休みの少ない就業体制による疲労。

加えて、賃金の低さから結婚や出産などに前向きに考えられず、さらに出会いの機会の少なさから、今最も夢のない職業と言っても過言ではないのではないでしょうか。

労働の過酷さなどは、どれも人の命に関わる職業であるためある程度は仕方のないことだと思います。

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しかしそれに見合った賃金がなければ、そこに残るのは仕事に対する熱意と人の助けになりたいと言う奉仕の心以外に残るものはありません。

賃金が低いと言うことは、生活が苦しくなると言うことですよね。

いくら奉仕の心や仕事に対する熱意があっても、まともに生活できない状態が続けば、いずれその熱意も冷めてしまいます。

なにに原因があるのかはわかりません。
国が悪いのか国民が悪いのか企業が悪いのか、一概には何とも言えません。

誰も悪いわけではないのかもしれません。
ですが、今の現状が続くことに明るい未来があるとは思えません。

日本は良い物をより安くより多くと言う考えを持つ国民性です。

一方海外では良い物は高く悪いものは安い。
これが一般的な考えだと聞きます。
お隣中国もこのように考えます。

そのため去年の流行語にもなりました「爆買い」も中国人は日本が良い物を安くで売っていることを知っているから大量に買っていくのです。

この良い物をより安くと言う精神は、物に対することだけではありません。

サービス面に対してもこの考えが浸透しています。
保育園もより安くより良い所へ、介護施設もより安くより良い所。
物質的なもの以外にもこの精神は変わらず持っています。

誰が言ったわけでもありません。
業界が進んでやってきたことではありますが、いつからかそれが当たり前になったのです。

しかし料金を下げることが必ずしも正解ではありません。

物をより安く売るには、仕入れ値を安くする必要があります。
仕入れを安くするには1度で大量に注文したり、専属で契約するなど何かの代わりにしなければなりません。

ではサービスはどうでしょうか。
サービスは仕入れるものではありません。

ホテルのアメニティなどのような備品や消耗品なら大量生産などで安く仕入れることはできますが、サービス業のメインはそう言った物ではありません。

あくまでもサービスを売っている職業です。
介護なら介護をすると言うサービス。
保育なら子どもを預かるサービス。
看護は病人の世話などのサービス。

もちろん他にも仕事はありますが、あくまでもメインの仕事は人を助ける仕事であると言えるのではないでしょうか。

これらのサービスを安くするためには、どこに対価を払っていると思いますか?

売り物は仕入れ値を安くします。
サービスはどこから仕入れているのでしょうか。

それは人です。 サービスを安くするためには、サービスをする人の値段を下げるのです。

つまりサービス業が安く利用できるようになればなるほど、人件費を下げなければなりません。

これが今の低賃金な現状につながっているのです。
保育も看護も国からの補助金などがありはします。
看護は病院で働きますから保険料などからも降りてきます。

しかし保育と介護はそれがありません。
補助金は認可された施設にしか当然補助金は降りません。

したがって、無認可でやるには料金は下げられません。
それに対し認可の施設では料金が安くなります。

普通に考えて、認可と無認可と言う2つがあれば、認可の方がなんとなく良いと考えるのではないでしょうか。

介護はわかりませんが、保育園は認可の所ばかりに人気が殺到し、無認可にはいれたがりません。

なぜなら、料金も安い上に「認可されている=安心」と言う心理が働くからです。

もはや負の連鎖としか言いようがありません。
良い物を安くした結果、良い物が安くなければ売れないようになったのではないでしょうか。

とはいえ厳密に言えば今も良い物は高く売れます。
しかし生半可な良い物では高くは売れません。

介護や保育業界にも同じようなことが言えるのではないでしょうか。

そして、賃金は低いまま労働は良い物を維持し高めるためにより過酷になり、人が減ることで1人の負担が増えていき、今この業界は衰退の一途を辿っています。

私はつくづく思います。

人を助ける仕事と言うとっても素晴らしい職業で、本来なら誰もが憧れ誰もが尊敬するはずの職業が、今最も不人気のなりたくない職業であることに悲観せざるを得ないと。

この業界の残された道は2つ。
業界全体が結託して最低料金を上げるか、政府が補助金を増やすかのどちらかです。

しかし補助金を増やしたとしても、潤うのは認可だけです。
認可の基準を下げるなりなんなりしなければ、増えることはないでしょう。

人を助ける仕事が報われない世の中に希望はあるのでしょうか。

仮に儲からなくても、生きていけるのに十分な稼ぎもない業界の未来は暗いですね。

私も1人のカウンセラーとしてそんな世の中にただただ寂しく思います。

それではまた。

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