「酒場の水問題」と言うコラムを目にして、自分だけじゃないんだと言う事がわかり、今回はこれを機に、居酒屋・バーで水だけ注文する客について私がバーテンダーをしていた時の話をしようと思います。
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「酒場の水問題とは」
最近居酒屋やダイニングバーなどで、アルコール、ソフトドリンクなどの飲み物を一切注文せず、水だけ飲んで料理だけに代金を払うと言う方が増えているとコラムによると書いてあります。
これは実際、私が働いていた4,5年前にもありました。
参照元:CMPANELLA
こちらを参考にしています、みなさんすでに見ているかもしれませんがまだと言う方はリンクから参照元へ飛べますのでご覧ください。
水だけ注文する客の問題点
私が働いていたお店では料理などもあり、店の作りはオーセンティックバー(一般的にはお酒のみで渋いマスターや渋いおじさん達が集まるようなバー)でした。
お酒は400種類ないぐらいのお店で、料理がアラカルトからパスタやピザなどのメインの物まである、いわゆるダイニングバーでした。
見た目がオーセンティックバーだったのと、土地柄フードはつまみ程度で、お酒がメインの売り上げでしたが、中にはお酒を一杯だけ飲み、酔い覚ましのチェイサー(お水)をずっと飲んで何時間もいる人や、上記のようにフードだけ食べる方などの客はそこそこいました。
この問題の争点は、このようなお客さんの多くはファストフード店などでおしゃべりをしに来ている学生などや、喫茶店でコーヒー一杯でおしゃべりに夢中になって何時間もいる主婦などが、時に団体で来て席を占領するため店の回転率が落ちてしまい売り上げに響くと言う事です。
水だけ頼む人を注意せずにほおっておくと、別の人も真似しだし、これ以上飲めないけどまだお店にいておしゃべりしたい時は本来、ソフトドリンクを注文し、それを飲み酔い覚ましをしながらおしゃべりをするのが一般的な過ごし方です。
大箱の店舗などならある程度許容できるこの問題ですが、小さいお店などは回転率が落ち、おまけに客単価まで下がると完全に経営破綻してしまいます。
このように、長時間居座り客単価も低い客ばかりになると、商品の価格を上げる事でしかお店は利益を生むことができません。
つまり、そのお店は潰れてしまいます。
ではなぜこのような水だけ頼む客が増えてきたのか説明します。
リーマンショック、世界的金融危機以降から始まった
私がバーテンダーをしていた当時がちょうどリーマンショックの1年後ぐらいでしたから、バーで仕事を始めた頃がちょうど水だけ問題の始まりなんですね。
このころから、飲食業は下火になっています。
あからさまに夜外を歩く人が減り、外食を減らすようになり、家で晩酌する人が多くなりました。
コラムには、このころから注文を水でいいと言う客が出始めたそうです。
中には、グループで1杯目はビールを頼み、2杯目からは水を頼み続けた客もいたそうです。
昔は、アルコール度数の高いお酒と一緒にチェイサーとしてお水を出したり、お薬を飲むために出すなどだけでした。
ですが、リーマンショック以降からは居酒屋でもバーでもファミレスでも水だけを注文し、長時間居座るような客が増えたとされています。
飲食店では、お酒やソフトドリンクの利益率は高く、フード関連は利益率が低くなっているのが一般的です。
このようにバランスを取って、利益を確保し、より良いサービスや価格にするために営業努力をしていくのですが、水だけ問題が出てから、ただでさえ全体的に客が減り、客単価も減り、さらにこの時期は値段を落とさなければ客が来ないと言う事態に陥っていました。
一言でいえばデフレです。
お金の価値が高くなり、安くてサービスが良くておいしい店でなければ行かないと言う人が圧倒的に増えました。
ちなみに今でもその流れは続いています。
このまま続くと飲食店は無くなる
現状が続くと、大手以外の外食産業の多くはのれんを外す事になると思います。
今でも外での外食は多くはありませんし、デフレもだいぶ落ち着き適正な価格へと戻ってきましたが、未だに安くて接客も素晴らしくおいしいお店をほとんその方が求めています。
しかし、安くてサービスが良くおいしいお店をやるには、赤字で経営しなければなりません。
安さは、大量に注文する事でコストを抑え、大量に調理する事で調理時間を短くし回転を上げます。
サービスを良くするには、賃金を上げ、より良い人材を雇い、良い人材を惜しみなく人数を使う事で素晴らしいサービスをする事ができます。おいしい物を出すには、これも優秀な調理師を雇い、人材にも食材にも妥協しない事が必要です。
そうするには、まず敷地がかなり広い店舗が必要です。
安さを生み出すためには、たくさん売ればいいので、その分たくさん人が入る面積が必要です。
サービス面を強化するためにも、例えば屋台みたいにほぼ相席みたいな状況はもってのほか。相席しかないのと、相席がないのとでは後者の方が多数派であると言えます。
そのためサービスを良くするには、客席をしっかりゆとりを持たせ、ホールにはいつ呼ばれてもいいようにスタッフ配置を多くする必要があります。
さらに、調理した料理を運ぶスタッフも広い分かなりの人数が必要です。
なぜなら、お客様を待たせる事はサービスが良くないからです。
このようなサービスを行うのであればさらに敷地面積が広く必要です。
最後においしい料理は、とにかく腕のいいスタッフを雇うのが大事なのでその分の人件費は月50万円以上からでしょう。
これらをすべて合わせると、現代の人が求める安くて、サービスが良くて、おいしい、ついでにおしゃれなお店ができます。
おしゃれさはお金をかければかけるほどすごい事になりますが、この時点でもすでに恐ろしい経費になってしまいます。
ざっと簡単に言って、月に数千万経費が掛かります。
安いの基準は人によりますが、だいたい客単価3000までが限界でしょう。
一人3000円の単価で5000万円売り上げるとすれば、月に1万6千666人の客が来なければなりません。
年中無休で考えると一日555名ほど入れなければいけない事になります。
営業時間が24時間だとすれば1時間に23人となります。
これの営業をするには、都心の人が集まる場所で200名は入る規模でなければなりません。
ざっくり家賃が500万~1000万かかると思います。
人件費それなりに高く、一日で30万以上ですかね。
それに加えて食材などの原価がからおよそ一日の経費が150万はかかるのではないかと思います。
結構適当に計算しただけですが、もっとお金がかかります。
一番近いのはファストフード店が近いと思います。
それよりもクオリティの高い物を提供するのですから当然、人件費もかかります。
そもそも、ファストフードがここまで大がかりに店舗展開できるのは、誰でも簡単に調理する事ができるようにしているからです。
つまり一流の料理を提供するのには向いてないのです。
ちょっと話がややこしくなってきましたが、簡単に言うと。
安くてサービスも良くておいしい店と言うのはかなり非現実的であると言えます。
安い店は騒がしく、サービスが良い店は静か、おいしい店は高い、これは仕方がないのです。
すべてをクリアするには、騒ぎそうな客は騒がしいフロアに通し、おとなしそうな客は静かなフロアに通すなど客を選別しないといけません。
そうすれば一部の人がサービスが悪いと言います。
このように、客の質が悪いのが現状です。
お客様は神様だと言わんばかりに偉そうな人や、お店に対して過度の対応を求める人が多いです。
水だけ注文する客も、過度の対応を求めていると言わざるを得ません。
ガラガラだからいいじゃん。とおっしゃるかもしれません、しかし、お店の席が埋まり始めてもきてもそういう人に限って居座ります。
俺たちは客だぞと、威張りますが逆に飲み食いさせてもらっている事を忘れていないかと思います。
それに、お金を払ってやっているとおっしゃりますが、飲食店の従業員は客に雇ってもらっているのではありません。
お店が雇っている従業員です。
これを言うとおそらく、そのお店から支払われるお金は誰からのお金が元だと言うと思います。
わかりやすく例えると人のメイドに命令しているようなもの
これをわかりやすく言うと、例えばメイドを雇っているとします。
そのメイドを、いきなり偉そうに顎で使われたらどう思いますか?
俺が・私が雇っているメイドだぞと怒りますよね。
勝手に命令すんなと思うのではないでしょうか。
これとまったく同じです。
いくら、公務員のあなたが雇っているメイドだからと言って、私が払った税金で雇っているのだから私があなたのメイドに仕事をさせても問題ないと、そんな事あるわけないですよね。
取引先の会社の人に、あなたの所からいつも注文してやってるんだから、一人こっちに貸してくれと言いますか?
それが飲食店などのサービス業になると、さも当たり前のように振る舞う人がいるのです。
その一つが水だけで居座る客です。
あなたが安く食べられているのは、あなたがこの店で払った料金のおかげではありません。
むしろあなたのせいで、他の客にも迷惑になるかもしれません。
なぜなら、ドリンクの高い利益率によってフードの利益を抑え、安く提供しているからです。
つまり、ドリンクが一切出ないようになれば当然フードの料金は高くなります。
高くなったから行かないと、行かなくなれば飲食店は減り、むしろ高くて良い物を提供するレストランなどが残ると思います。
実際、その傾向があります。
焼き肉店などがだんだん値段の高い店が増えてきました。
そして、大手チェーン店であるすき屋などが一部24時間営業を辞め、マックも経営不振に陥り、ワタミもそろそろやばいです。
もう安さを売りにした店が淘汰され始めています。
私は5~10年後には、安さを売りにしている店は大手チェーンを含め、相当減ると思っています。
その原因の一つが、私たち消費者の店に求める事が大きくなりすぎたからだと言えるのではないかと思います。
もちろん消費者だけが悪いのではありません。
一番大きな原因は、時代のニーズに合っていないのでしょう。
終わりに
当初の予定では、もっと短くサクッと読める記事にする予定だったのですが、思ったよりも熱を帯びてしまい、そこそこ長くなってしまいました。内容も短くするつもりだったため、少し感情が先走ったような内容となってしまいましたが、これが飲食業界の現状でもあります。
おしゃれなカフェなんかもかなり多いですが、その実情はかなり厳しい中何とかやっているのが現状です。
アベノミクスで景気は回復したと言われ何年か過ぎましたが、飲食業界にはその恩恵はまだあまり来ていません。
来ているのは一部の高級店だけです。
つまり、お金持ちにしかまだ恩恵がないと言えるのではないでしょうか。
私たち庶民には、全く景気が良くなった影響は感じられません。
特に私が住む沖縄は、今も繁華街だと言うのに閑古鳥が鳴いているお店が大多数です。
国際通りには台湾・中国などの外国人ばかりで、本当に国際な通りと化しています。
数年後の国際通りが楽しみです。
ここまで読んでいただいたあなたには夜のお仕事「水商売」の誤解こちらと「キャバクラ・スナック・ラウンジ」それぞれの違いについての記事もおすすめですので、是非目を通してみてはいかがでしょうか。
それでは今回はこれで以上です。
また次回お楽しみに。
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コメント
居酒屋店員です。まったくもって同感!!
最近の客は我儘が過ぎる