今ユニセフの幸福度調査の記事が話題になっています。
この調査によると先進国や新興国38ヵ国中
日本は20位という微妙な結果だったことでネット上では様々な意見が交わされています。
中にはこの調査を疑問視する人や信じられない人もいるようですが、そもそもこの調査とはどんなものなのでしょうか。
ユニセフの公式サイトの方に概要がありました。
この総合順位は以下の3つの文茶を総合した順位です。
〇精神的幸福度:37位(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率)
〇身体的健康:1位(子どもの死亡率、過体重・肥満の割合)
〇スキル:27位(読解力・数学分野の学力、社会的スキル)
詳しくは下にPDFと公式サイトのリンクからご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/jcu-cms/media-contents/2020/09/UNICEF-RC16_JPN.pdf
ユニセフ報告書「レポートカード16」発表 先進国の子どもの幸福度をランキング|日本ユニセフ協会|プレスリリースユニセフ(国連児童基金)・イノチェンティ研究所が発表した「レポートカード」シリーズの最新報告書は、自殺、不満、肥満、低い社会的スキルや学力といったことが、先進国の子どもたちに共通に見られる特徴になっていることを明らかにしました。
日本が低い理由は「精神的幸福度」「スキル」この2つの項目が低いことが大きく下に引っ張っていることがわかります。
特に注目なのは精神的幸福度の低さで、今回調べてみた結論としては、日本の精神的幸福度の低さは概要にもあるように「自殺率の高さ」「経済格差」が関係していると考えられます。
ただ、ネット上にあるデータでは収集しきれなかったのであくまで参考程度にご覧ください。
ユニセフレポートカード16 日本の順位が低かったのはなぜ?
総合順位としては38ヵ国中の20位なので中間ぐらいなんですが、問題なのは「身体的健康」は1位なのに「精神的幸福度」が37位とワースト2位なこと。
肉体の健康はあるのに精神的には生活に不満を抱える子どもは多いのでしょうか。
ネット上では身体的健康が1位であることには納得しているものの、精神的幸福度の低さを疑問視する意見や信じられない方が多いような印象です。
調査対象国について
まずレポート16の対象国について調べました。
・オランダ・デンマーク・ノルウェー・スイス
・フィンランド・スペイン・フランス・ベルギー
・スロベニア・スウェーデン・クロアチア
・アイルランド・ルクセンブルク・ドイツ
・ハンガリー・オーストリア・ポルトガル
・キプロス・イタリア・日本・韓国・チェコ
・エストニア・アイスランド・ルーマニア
・スロバキア・イギリス・ラトビア・ギリシャ
・カナダ・ポーランド・オーストラリア
・リトアニア・マルタ・ニュージーランド
・アメリカ・ブルガリア・チリ
https://www.unicef-irc.org/child-well-being-report-card-16
対象国をみると欧米がメインの調査みたいですね。
ヨーロッパから中東付近、オセアニアと南米北米、アジアは日本と韓国だけのようです。
ちなみにこの表はランキング順になってますが、日本の低さよりもアメリカが総合ワースト3位なのも少し驚きました。
でもよくよく考えたら肥満体国ですし差別問題も深刻ですし納得な順位なのかもしれません。
日本と他国の違いって
日本と他国の違いは島国という点。
島国自体は対象国にもいくつかあるのですが、島国でもヨーロッパだとEU諸国のつながりもあるのでまた少し違っているのかもしれません。
また、日本は減点方式の考え方が主流でやや完璧主義的なところがあります。
そのため夢や希望など理想に対する考え方も違ってくるのかもしれません。
しかし、加点方式の考え方であるはずのアメリカは順位が低いので、こういった国民性などはあんまり関係ないのかなと思います。
では一体何が違うのかというと、まず言語の違いが大きいのかなと思います。
言語の違いは情報の広さに関係する
日本は一応英語の授業はあるものの、あんまり英語って浸透してないですよね?
日本は英語ができなくても国内で働く場所はたくさんありますし、治安は世界トップクラスで国民健康保険など社会保障も充実してますので無理に外国に出なくても満足に暮らしていけます。
実際この調査でも身体的健康が1位ですし健康面では恵まれた国だと思います。
一方で日本語は日本でしか使いませんので情報が限られます。
英語が公用語の国だと、アメリカやイギリスなどトップの国の情報をみて理解することができるので、この差はかなり大きいのではないかと思います。
ヨーロッパでもフランスやイタリアなど一部でしか使われない言語はありますが、元がラテン語やゲルマン系など近い言語ですし、民族的に近いことなど隣国や他国に対する精神的距離感の近さも違いとして大きいのかもしれません。
幸福度は比較で決まる
そもそも幸福度って目に見えないものなのに、どうやって感じたりしているのでしょうか。
それは周りと比較して考えるから形づけることができます。
子どもの場合は家族や学校の友達、先生などとの比較以外だとネットやテレビなどから得る情報と比較することになると思います。
日本だと隣国は「韓国、中国、台湾、北朝鮮」などのアジアになりますが、言語も違うし精神的な距離感が遠く、比較としてあまりピンときづらいことから日本が恵まれていることに気づきにくくなってしまっているのではないかと思います。
幸福度は経済・情報・自殺率?
幸福度を数字で表すことは難しいですが「地球幸福度指数(HPI)」というものがあって、これは「国民の満足度や環境への負担」から国の幸福度を測る指数なのだそうです。
具体的な項目
- 平均寿命
- 健康指標
- 健康格差
- エコロジカル・フットプリント(地球環境)
この4項目を基準としているみたいですが、この基準で言うなら健康格差というのは資本主義だと経済格差も関係しますから、貧富の差が激しい国は幸福度が低くなりそうですね。
一方で日本は健康保険が充実しているので健康格差は少なくなると思います。
ただ逆に言うと健康格差は幸福度にあまり関係しないということでもありそうです。
日本語だと世界の情報が遠くなってしまう可能性もあるので、肉体的健康が幸福度を上げることにつながりにくくなっているのかもしれません。
日本は貧困率が実は高い
また、日本は貧困率が世界的にみても結構高いです。
(2017年のランキングでは15位)
日本が貧困だなんてそんなバカな!と思う人もいるかもしれないですが、貧困といっても相対的貧困のことで、他国と比べて貧しいということではなく自国の中で比べた貧困率のことです。
日本は世界的にみて自殺率が高い
若者の死因で自殺がトップなのは、裏を返せば病気や事故で亡くなることが相対的に少ないということでもあるので必ずしも悪いこととは言い切れません。
しかし、人口10万人あたりの割合にしても日本は自殺率が世界的にみて高い国です。
それは相対的貧困も理由にあるのかもしれませんし、いじめなど精神的に苦しんでのことなのかもしれません。
理由は人それぞれですが生きるのがつらくなるほど不幸に感じている人がそれだけ多いということなのかもしれません。
自由度の高さ
日本は比較的自由な国だと思いますが、このコロナ禍で思ったのは同調圧力の高さなど、実は結構不自由な国なのかもしれないなと思いました。
国としては自由度が高いとは思います。
ただ、表向きは自由と言っているんだけど暗黙の了解的な、公表してない部分ではちょっと窮屈なところがあるのかもしれません。
アメリカも自由の国と言いつつ規制が厳しい国ですし、自由度の高さが幸福度にも関係しているのかもしれないですね。
他国の幸福度が高い理由について
日本はさておき他国がなんで高いのか気になりますよね。
経済面や自殺率なども大きく関係していると思いますが、エコロジカル・フットプリントという地球環境的な意味での幸福度も関係しているのかなと思います。
自然が豊かだと幸せを感じる?
日本は地震や台風など災害の多い国ですし、四季によってさまざまな気候の影響を受けます。
単純に自然が多く残っていることも幸福度に関係するようです。
海とか山などのレジャーは人気ですし、都会にいると窮屈に感じてたまにはハワイにでも行って羽を伸ばしたいと思いますもんね。
文化の豊かさが幸福を与える?
自然の他にも絵画や音楽などの文化も幸福度に大きく関わります。
日本の文化はアニメカルチャーは発展していますが、昔ながらのものはだいぶ薄れてしまっています。
スペインやドイツ、ベルギーなども貧困率は結構高いんですが、それでも精神的幸福度が低くないのは自然や文化の面で幸福感を感じているのかもしれません。
自由度の高さは幸福度の高さ?
また「ベルギー・オランダ・スイス」は安楽死を認めている国なのですが、オランダは報道の自由度が世界2位ですし、スイスは人間の自由度指数が世界最高クラスだと言われていますので、自由であることも幸福度につながっているのではないかと思います。
スキルとは
最後に幸福度の他にもちょっと低めだったスキルについて。
概要にあるようにスキルというのは「読解力・数学分野の学力・社会的スキル」とあります。
読解力はOECDの調査の結果で日本人の読解力低下が話題になっていましたが、数学や科学の分野はかなり上の方だったので学力という意味では別に低いわけではなさそうです。
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
社会的スキルというのはソーシャルスキル、ライフスキルと言われるものだと思います。
WHOが定めている定義
- 意思決定
- 問題解決能力
- 創造力豊かな思考
- クリティカルに考えていく力
- 効果的なコミュニケーション
- 対人関係スキル – 自己開示、質問する能力、聴くこと
- 自己意識
- 共感性
- 情動への対処
- ストレスへの対処
社会技能 - Wikipedia
という項目があるようで、簡単に言えば学校とかクラスとかのコミュニティ内でうまくやっていくいわゆるコミュ力というやつだと思います。
ただいわゆるコミュ力と違う点は「ストレスへの対処」や「自己意識、意思決定、問題解決能力」も含まれているので、他人とうまくやっていくだけではなく自分とうまく向き合ってやっていくことも重要なポイント。
読解力・数学分野の学力・社会的スキルのどれも本当に低いかどうかは怪しいですが、おそらく若者本人にとっては足りていないと感じていたり、これが社会にとって必要なスキルではないと感じているということなのかもしれません。
おわりに
結局のところユニセフがどのようにして調査したのか、どういう基準にしてランキング付けをおこなっているのかはわかりませんが、日本に関しては的を射ているように感じました。
ネット上ではこの報告書の記事をみて、そんなはずはないと反論している意見も多く見られましたが、今回貧困率や自殺率などを調べてみて低い国にも高い国にもそれなりの理由があるんだなと思いました。
しかし、幸福度は低い結果ではありましたが日本は比較的良い国だと思います。
治安の良さや、健康面の安全など他国と比べて恵まれている部分はとても多くあります。
そのことが当たり前になりすぎて逆に幸福に思えなくなってしまっているところはあるのかもしれませんので、見識の広さやどこに注目するかによって感じ方が違ってくるものなのかもしれません。
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